正常な人の排尿の頻度はどれくらいなのでしょうか? もちろん人によって多少の差はありますが、
だいたい日中で5〜7回、寝ている間は0回が正常だそうです。
夜は人間の体は、ゆっくり睡眠をとることができるよう、尿の製造量を控えるようにできています。ですから、
夜間に一度でも排尿のために眼が覚めるようでしたら、昼間の排尿頻度が少なくても頻尿の症状が出て
いるのではと考えてみるべきと言われています。

そもそも、脳が、「排尿をしたい」と認識するのは、膀胱に200ミリリットル程度の尿が溜まったときであると
されています。膀胱の畜尿量は、大体400ミリリットル前後ですから、このときはそれほどには切迫感はな
いはずです。人が「そろそろトイレに行っておかねば」と認識するのは、300ミリリットル程度の尿が蓄積さ
れたころですからとされています。最初に「トイレに行きたい」と気付いたときに、すでに切迫感があるよう
でしたら、「過活動膀胱」という病気の可能性があります。

原 因

過活動膀胱には、脳と膀胱(尿道)を結ぶ神経のトラブルで起こる「神経因性」のものと、それ以外の原因
で起こる「非神経因性」のものがあります。

(1)神経因性としては脳卒中や脳梗塞などの脳血管障害、脳・神経の疾患があげられます。

脳と膀胱(尿道)の筋肉を結ぶ神経の回路に障害が起きると、「膀胱に尿がたまった」「まだ出してはいけ
ない」「もう出していい」「膀胱を緩める(締める)」「尿道を締める(緩める)」といった信号のやりとりが正常
にはたらかなくなります。その結果、膀胱に尿が少ししかたまっていなくても尿を出そうとしたり、「締める」
「緩める」の連携がうまくはたらかなかったりして、過活動膀胱の症状が出るそうです。

(2)非神経因性過活動膀胱(神経トラブルとは関係ない原因)

骨盤底筋のトラブル
女性の場合、加齢や出産によって、膀胱・子宮・尿道などを支えている骨盤底筋が弱くなったり傷んだりす
ることがあります。そのために排尿のメカニズムがうまくはたらかなくなり、過活動膀胱が起こると言われて
います。

   それ以外の原因         


上記以外の何らかの原因で膀胱の神経が過敏にはたらいてしまう場合や、原因が特定できない場合も
あります。いくつかの原因が複雑にからみあっていると考えられています。この原因の特定できないもの
や加齢によるものが、実際には最も多く存在しているそうです。

排尿に関係した症状などで日常生活に支障がある場合、医療機関でご相談ください。
と、過活動膀胱の可能性があります。排尿に関係した症状があるからといって、必ずしも過活動膀胱と
は限らないそうです。正常な排尿の場合は、途切れることがありません。一定の量ずつ、スムーズに排出され
るはずです。尿がちょろちょろとしか出ない場合、また不快感や痛みがある場合、途中で何度か排尿が
途切れるようでしたら、膀胱炎・尿道炎かもしれませんし、男性の場合は前立腺肥大が原因かもしれま
せん。他の病気の可能性も含めて確認するための検査が必要な場合があります。

過活動膀胱の日常生活でできることで膀胱訓練が有効です。

・自分の排尿をコントロールする力をつける

尿意切迫感や尿漏れを気にするあまり、少ししか尿がたまっていないのにトイレに行くくせがついてしま
うと、膀胱が小さくなったり、過敏になったりして、尿をたくさん蓄えることができなくなることがあります。
このため、ますます尿トラブルが悪化してしまうのです。このような場合は、膀胱に尿をためる訓練をし
て、膀胱の能力をもとに戻すことで、症状を改善させることができます。

 方法:尿意を我慢する練習を、短い時間から始めて、少しずつ時間を延ばしていきます。

    a.トイレへ行くのを1回だけ我慢してみましょう。
    b.最初は5分くらい我慢し、1週間ほど続けます。
    尿意を感じるたびにではなく、1日の うちの時間や回数を決めて、少しずつ始めてもいいのです。
    c.10分、15分と、我慢する時間をだんだん延ばしていきます。
    d.最終的に2〜3時間我慢できるようになれば、目標達成です。

訓練と併せて、排尿日誌をつけると、自分の排尿の傾向がわかり、尿トラブルの頻度の高い時間帯に
訓練の時間を合わせるなど、対策が立てやすくなります。 また、訓練の成果もよくわかり、励みにもな
るでしょう。排尿日誌には、排尿した時間、尿の量などを記録します。1回の排尿の量は200〜300ccく
らいが目安と言いますす。

片麻痺になりたての頃、満足に歩けないので、わずかな尿意でもトイレに駆け込んでいました。その事
が習慣化し、頻尿となったというのが私のケースでした。これは我慢する訓練で解消できました。

・膀胱訓練が有効でない場合もあります

膀胱訓練で効果が出るのは、過活動膀胱による尿意切迫感や頻尿の場合です。
感染症や前立腺肥大症などの場合は症状を悪化させることもあります。きちんと診察を受け、自分の
尿トラブルの原因を理解した上で、医師の指導に従って行うことが大切です。

 

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