死亡事故で、自賠責保険も任意保険も一切おりないケースがある。そんなばかな、と資料に目を通しながら驚いた。
1996年までは、死亡事故で、毎年約800件、負傷事故では6000件が「無償」と判断され、自賠責がまったく支払われていないというのだ。
「無償」とは「加害者に責任がないこと」つまり「被害者側に100パーセントの過失あり」判断される事とある。そして「無償」と判断されると、自賠責だけでなく、任意の対人保険も一切おりず、被害者や遺族は金銭的な救済を閉ざされてしまう。

自賠責保険は国が公道を走るすべての車に加入を義務づけている。契約の窓口は、民間の損保会社や、JA、全労済、など。死亡保険金の上限は3000万円。負傷で120万円となっており、それで足りない場合に任意保険でカバーする。

事故発生から保険金の支払いの流れを追ってみると、

1、加害者、もしくは被害者は、損害の額を証明する書類とともに請求書を損保会社へ提出する。

2、損保会社は書類がそろっているかを確認して、全国各地に設置された自算会(自動車保険料率算定会)の調査事務所へ送付する。

3、調査事務所は事故状況や、損害の状況調査、当事者への事故状況の紹介、病院照会、事故現場の調査などを行い、事実の確認を行う。

4、調査事務所は、損保会社へ調査結果及び支払い額を報告する。

5、損保会社は支払額を決定し、保険金を払う。

しかし、被害者救済のための保険とはいえ、どんな事故でも必ず保険金が支払われるわけではない。

自動車損害賠償保障法(自賠法)の第3条の但し書きで定められている「無償の3条件」を加害者側が立証できれば、加害者にはまったく賠償責任がないということになり、自賠責はもちろん、任意の対人保険も一切支払われない。

ちなみに、無償の3条件とは、

1、自己及び運転者が、自動車の運行に対して注意を怠らなかったこと。

2、被害者または、運転者以外の第3者に、故意または過失があったこと。

3、自動車に構造上の欠陥または機能上の障害がなかったこと。
中央線突破や追突などで一方的に突っ込んだ場合やは問題ないのだが、被害者が死亡したり、事故当時の記憶を失っているような場合は、加害者の一方的な証言で判断されることもあり、遺族や被害者からは常々不満の声が上がっていた。

1997年9月、自賠責の査定を行う自算会に通達が出され、指導を行った。自算会の方でも様々な改善策を打ち出している。

戻る  次へ
Google